あなたが知っておくべき がん治療の現状

がんの生存率は改善しているのか?

次に、実際のがん患者さんの5年生存率を見ていきたいと思います。5年生存率というのはがんと診断されてから、5年後に生存している患者の割合を示しています。これは治療成績の重要な指標となっています。下の図は主要ながんの5年生存率を過去から現在まで比較したものです。

このデータを見てもらうとわかりますが、どのがん種でも生存率は確実に伸びています。特に近年での改善が著しいことがわかります。どのがん種でも新薬が登場したことで、生存率は確実に改善しています。しかも、有効な新薬が登場する速度は上がっていますので、この傾向は今後も力強く続くことが予想されています。

ただ、膵癌のようにほとんど生存率が改善できていないがんが存在することも確かです。膵癌は早期発見が難しく、有効な治療薬も限られています。このような難治性のがんもいくつかあり、それらの有効な新薬の開発が急務な課題となっています。

また、いくら伸びているといっても、50%を下回っているがんもあり、ますますの新薬開発が求められています。

がん治療は早期に行うことが重要

このことは良く言われているので、ご存知の方も多いと思います。がんは進展していく病気で、最初は臓器に限局した形で発症して、その後に進展すると周辺領域に広がり、最終的には遠隔臓器に転移することが多いです。その進展具合で治療成績はどのぐらい違うかのデータをお示しします。

このデータを見ていただくとすぐにわかるかと思います。臓器に限局している状態で見つかったがんの5年生存率は極めて高いです。しかし、それが周辺領域まで広がると生存率は著しく下がります。遠隔転移まで広がってしまうと、治療成績は大変に厳しいものとなります。

ここから見えてくることは、がんは早期に治療することが極めて大事だということです。

「がんは放置して良い」は大きな間違いです。放置して良いがんなどといいうのは極めて稀な、ごくごく一部の特殊例のみです。ほとんどのがんは放置すれば治療困難になるということを、このデータから良く知っておいてもらいたいと思います。

現状を正しく知って未来へ

今回は最新のがん統計データをご紹介しました。日本のがん治療の現状を正しく知ってもらうことは、正確な判断を下すために重要です。まだまだ、がん治療には多くの課題があって、救えない患者さんがたくさんいることは間違いがなく、医療者・がん研究者はさらなる改善をできればと日々研究しています。

ただ、状況はどんどん改善していること、がん治療は確実に進歩していて、救える患者が増えていること、そのため適切な治療を早期に受ける重要性はさらに増していることを知ってもらいたいです。がんは治療困難な不治の病いだと、未だに信じ込んでいる高齢者もいます。諦めずに適切な治療を受ければ、十分に人生を楽しる機会を得られます。

世の中には様々な思惑があって、個人的見解を事実のように言っている人がたくさんいます。それらの情報に流されないためには、現実に起こっている事実をデータで知ることが極めて大事です。そこから、何が上手くいっていて、何が上手くいっていないのか、正確に事実を把握して判断することが自分を守るためにとても大事です。ぜひ、今回の情報を参考にしていただければと願います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする