やさしいがん講座 (第1回) 標準治療について

標準治療は日本だけの治療?

あと、良くいただく質問に、日本で行われている標準治療は日本だけのもので、世界で行われている治療とは違うの?という質問をいただきます。

基本的には、世界共通の治療で、日本だけでなく、他の先進国でも同じ標準治療を行います。

なぜかといえば、みんなが良く効くがん治療を探しているので、どこかで良い治療があるということがわかれば、世界中の医師がすぐに使うからです。がんに効く治療というのはゴロゴロ見つかるものではありません。1つのがんで数年に1つ見つかるか程度です。滅多に見つからないものです。そのため、見つかるとみんながすぐに飛びつきます。そのため、共通の治療に自然となることになります。

もちろん、国ごとに薬剤認可を行っている事情や、医療保険システムが異なるなどの事情があって、一部違いが生まれることはあります。

また、とても治療が難しいがんでは、決定的な治療が存在せず、様々な効果が弱い治療が乱立していて、国ごとに治療の違いが生まれることもあります。

基本的には、標準治療に大きな違いはないと思ってもらって大丈夫です。

標準治療は高いの?

次に、お金についてです。標準治療は高いのでしょうか?

正確にいうと本来はとても高額な治療です。薬剤によっては数百万円するのも、最近では存在します。

しかし、ご安心ください。日本では国が治療費用の大部分を負担してくれるので、ご自身が支払わないといけない金額は低くなります。標準治療は高額の自由診療と比べても安価といえます。

特に、日本では高額療養費制度というのがあって、月の支払い上限額 約8万円ほど(収入により3~25万円と変動)が決まっていて、たとえ手術や高額な抗がん剤を使って月に300万円の治療費がかかっても、上限額の8万円だけ払えば良いということになります。

なぜ、ここまで政府が手厚い補助をしてくれるのかというと、政府はしっかりと効果があって、国民の健康に寄与する治療を、国民に受けてもらいたいからです。標準治療はまさに受けてもらいたい治療であるため、政府も手厚い補助をしているということになります。

逆に保険外の治療は効くかもはっきりしませんので、政府は一切補助していないということになります。

どうやって標準治療を受けるの?

では、最後にどうやって標準治療を受けたら良いのでしょうか?

標準治療はがんを専門に治療する病院で、誰でも受けることができます。コネも大金も要りません。

また、自分で勉強をしていって、どの治療をするべきか自ら選択しないといけないわけでもありません。専門医が患者さんにあった標準治療を選択してくださいます。

気をつけてもらいたいのは、がんの専門病院のようにウェブページで謳っているが標準治療を行っていない病院です。高額な保険外のがん治療ばかりを行っていて、標準治療は一切行っていない病院があります。

標準治療を行っているかは、「保険がきく治療を行っているか」で見極められます。これは保険がきかないので高額ですといわれる治療は標準治療ではありません。まだ、効果が不明な治療ですので、それらは効果が期待できるかは全く不明です。それらの治療ではなくて、まずは標準治療を選択しましょう。

日本では先端治療といわれる枠組みもあって、これは完全な保険外診療とは違い、今後標準治療となるかもしれない可能性の高い治療を政府が認可して行っている治療です。これについてはまた別の回で詳しく解説いたします。

がんになったらまずは標準治療

では、今回のまとめです。

がんになったら、まずは標準治療をご検討ください。地域の基幹病院でがんを専門に治療している医師のもとで、保険適応されている最も効果が確認された治療を受けてください。

それらが、現時点では最も効果が期待できて、副作用も少ないものです。さらに、保険が適応されるため金銭的負担も少ないです。その治療は日本に限らず、全世界の人が共通して行っている治療です。

もちろん、すべての人が同じ治療を必ず受けないといけないわけではありません。患者さんの状態(年齢・合併症等)によっては、標準治療を行うことが却ってリスクがある場合もあります。そのような場合は、専門医が考慮した上で、お勧めを教えてくださいます。全員が全員同じ治療をしているわけではありません。標準治療という一つの最高のレシピをもとに、その人に合わせて、多少アレンジして治療を行うことが多いです。

まずは、標準治療を行っているがんの専門医のもとで治療相談をしてください。

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コメント

  1. 人見義郎 より:

    いつも情報発信ありがとうございます。
    高額医療費制度に関しては、言葉足らずなところがありそうなので補足させてください。
    日本の保険制度上の高額療養費は「自己負担限度額を超えた部分に関してはおよそ1%の負担となる」と言った方がもうちょっと正しいです。
    なので、例えば自己負担8万円で医療費300万円の場合には、約11万円かかります。
    # 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%なので、きちんと計算すると107,430円です。
    さらに高額療養費が1年のうち4か月以上の長期間適用になる時には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
    最近の新薬(白血病治療薬キムリア)は3349万円の薬価だそうなので、高額療養費が適用になっても高額で、3か月までは自己負担が約33万円増えてしまいます。
    詳しくは以下のURLなどを参考にしてください。
    参考URL:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150