嘘の医療情報に騙されないために知るべきこと

正しい医療情報を見抜く方法

では、ネットの医療情報にどのように対処すれば良いでしょうか?方法はいろいろとあると思います。私が最も大事にしているのは、その医療情報が正しいという科学的根拠があるかどうかです。結局のところ医療情報で大事なのはちゃんと効果があるのかですので、それは効果があるということが科学的に証明されているかということになります。個人の感想レベルの話ではだめ、数十例の良い結果でも不十分、数百例の患者に対して良くデザインされた臨床研究がされて、効果をしっかりと証明されているかです。どんな美辞麗句をならべようが、陰謀だといっても、効果の証明を出せないから、いろいろと言い訳しているにすぎません。「効くという証拠を出せ」ということにつきます。

科学的根拠の確認方法

では、何かの医療情報があった場合に、科学的根拠があるかをどのように確認したら良いでしょうか?残念ながら一般の方が自分だけでこれを正確に調べることは難しいです。そのため、以下のような手順をとって科学的根拠を確認してください。

1、専門家に聞く

専門家であれば正しい情報かを判断することができます。その人に聞いてしまうというのが最も簡単な方法です。身近にいる専門家は担当医です。癌で治療中であればかかりつけの医師に、この情報は本当か聞きましょう。それが最も早くて正確です。もし、自分が信じていたのと違っても冷静に受け止めてください。医師も製薬会社のグルだとか思わないでくださいね。この方法は簡単なのですが、難しいのは限られた外来の時間であれもこれも聞けないことです。大事なことの確認に使ってもらうということになるかと思います。

2、科学的根拠をもとに作られた情報サイトを利用する

科学的根拠をもとに解説している政府機関や国際機関のサイトを利用するのがもう一つの方法です。癌の世界では、国立がんセンターの情報サイトが正確です。他には、アメリカのNIH/NCIの情報サイト(日本語版もあります)、それらを集めた海外がん医療情報リファレンスなどに正確な情報があります。その他の医療関係では、WHOやCDCにも様々な情報が公開されています。これらは英語ですがGoogle翻訳を使えば、大体の意味はつかめるかと思います。

科学的根拠をもとに書いている医師のブログを利用するのも手です。ただ、気をつけて欲しいのは、ごく稀に医師なのにイカサマ治療に誘導するための情報を書いている人もいます。ちゃんと科学的根拠が示されているのか注意して見てください。

最後にお伝えしたいこと

今回は、ネット上の医療情報の特徴と、どのように正しい情報を得るかを解説しました。これらの特徴があることを知ることは、嘘に騙されないためにはとても大事です。拡散され方や、批判の有無は参考にはならないと知っておいてください。正しい情報に当たるためには、専門家に直接聞くか、科学的根拠に基づいた情報を探すようにしましょう。もちろん科学的根拠が常に全て正しいとは言い切れません。しかし、その科学的根拠が最も現時点では正確な羅針盤です。他人の適当な言動にのせられて、難しい航海を進めるのではなくて、少しでも正確性が高い情報をもとに船を進めるべきです。ぜひ、これらの点に留意していただければと思います。