がん講座(第3回) どの未承認治療がおすすめか?
日本代表選手を探そう
なんだか難しいなと思ったかもしれませんが、これはスポーツの日本代表選考だと思ってもらうとわかりやすいです。
たくさんの候補者から、すごい人を見つけようと思えば、選考会をして選抜すると効率が良いです。市大会、県大会、全国大会と選抜していけば、すごい選手を見つけられます。がんの新薬開発でも同様なことが行われていることになります。
ここまで説明すると探し方が見えてきたかと思います。日本代表になる選手を効率良く見つけようと思ったら、どこで探しますか?市民大会で探しませんよね。当然、全国大会まで進んだ人の中から探すと、早く見つけられます。
有望な未承認治療薬を探そうと思ったら、開発段階の後期にある薬を見れば有望だということになります。
どの段階かで全く違う有効率
各開発段階にある薬剤が、最終的に「本当に効果がある」と確認される確率をお示しします。
承認の直前段階にある第4段階(臨床試験Phase3)が行われている薬だと35.5%です。3つに1つは効果を得られます。しかし、それが前になるほど著しく低下して、第3段階(臨床試験Phase2)では6.7%、第2段階(臨床試験Phase1)ではわずかに3.4%となります(Biostatistics, 2018)。
基礎研究の段階にある薬剤で最終的な成功までいけるのは0.01%以下と予想され、ほとんど可能性はないということになります。
このデータから導ける結論は、未承認治療でもかなり進んだ開発段階にあるものでないと、ほとんど効果は期待できないということになります。
どの未承認治療がおすすめか
この割合を踏まえて、どのような治療を検討すべきか具体例をお示しします。
最も右にあるのが標準治療薬で、これこそがオススメだと何度も伝えている理由はここからもわかります。
この一番右にあるもので、日本での標準治療薬に入っていない薬があります。それが国内未承認薬です。海外ですでに承認されたが、日本では承認申請中で、日本人での効果を調べられている薬です。
次に試すべきものは、臨床試験薬(治験薬とも言います)で、できるだけ右側にあるもの、Phase 3 > Phase 2 > Phase 1 となります。
基礎実験レベルのデータしかないものはおすすめしません。
それぞれについて追加解説します。